2026.09.02
公共施設の広報・プロモーション講座②
誰に伝えるのか? ターゲット設定が広報の成否を決める
公共施設の広報について考えるとき、多くの担当者が最初に悩むのが「何を発信すればよいのか」ということです。
しかし実際には、その前に考えるべきことがあります。
それは、「誰に伝えたいのか」ということです。
どれだけ魅⼒的な情報を発信しても、それを届ける相⼿が曖昧なままでは、期待する効果を得ることはできません。
公共施設の広報においても、ターゲットを明確にすることは、情報発信の出発点になります。
「みんなに伝えたい」は伝わらない
公共施設は市⺠全体のための施設です。そのため、「できるだけ多くの⼈に利⽤してほしい」という考え⽅は⾃然なことです。
しかし広報の視点で考えると、「みんなに向けた情報」は、誰にも響かない情報になってしまうことがあります。
例えば、「スポーツ教室を開催します」という情報だけでは、⾃分が対象なのかどうかが分かりません。
⼀⽅で、「親⼦で参加できるスポーツ教室」「健康づくりを始めたいシニア向け教室」と伝えれば、対象となる⼈は⾃分事として受け取ることができます。
⼈は、⾃分に関係があると感じた情報に反応します。
だからこそ、広報では「誰に届けるか」を最初に考える必要があるのです。

利⽤者によって施設の⾒え⽅は違う
同じ施設であっても、利⽤者によって感じている価値は異なります。
例えば公園であれば、⼦育て世代は遊具や芝⽣広場に魅⼒を感じるかもしれません。
⼀⽅で⾼齢者にとっては、散歩コースや休憩できるベンチが魅⼒になることもあります。
⽂化施設であれば、イベントを楽しみに訪れる⼈もいれば、静かな時間を過ごすために利⽤する⼈もいます。
つまり、施設には⼀つの価値しかないのではなく、利⽤者ごとに異なる価値が存在しています。
広報では、その違いを理解しながら情報を発信することが重要です。
新規利⽤者とリピーターでは伝える内容が違う
広報というと、新規利⽤者を増やすことに意識が向きがちです。
もちろんそれも⼤切ですが、施設運営においては既存利⽤者との関係を維持することも同じくらい重要です。
初めて利⽤する⼈は、
- 「どんな施設なのか」
- 「⾃分でも利⽤できるのか」
ということを知りたいと思っています。
⼀⽅で、何度も利⽤している⼈は、「新しいイベントはあるか」「以前と何か変わったことはあるか」という情報を求めています。
同じ施設の情報でも、受け取る相⼿によって必要な内容は⼤きく異なるのです。
「ペルソナ」を設定してみる
近年のマーケティングでは、「ペルソナ」という考え⽅がよく使われます。
ペルソナとは、「施設を利⽤する典型的な⼈物像」のことです。
例えば、
- 休⽇に⼦どもを連れて出かけたい保護者。
- 健康づくりのために運動を始めたい⾼齢者。
- 仕事帰りに気軽に⽴ち寄れる場所を探している会社員。
こうした具体的な⼈物像を思い浮かべることで、伝えるべき内容は⼤きく変わります。
広報で重要なのは、多くの⼈を想像することではありません。
まずは⼀⼈の利⽤者を想像することです。⼈物像が明確になると、どんな情報を発信するべきかも⾒えてきます。

情報発信の前に利⽤者を知る
近年はSNSやホームページなど、情報発信の⼿段が増えています。
しかし、どの媒体を使うかを考える前に、「その情報を届けたい相⼿は誰なのか」を整理する必要があります。
利⽤者が⾒えていなければ、どれだけ発信しても効果は上がりません。
逆に、届けたい相⼿が明確になれば、伝える内容も、使う媒体も⾃然と⾒えてきます。
広報とは情報を発信する仕事ではなく、利⽤者を理解する仕事でもあるのです。
公共施設の広報は利⽤者理解から始まる
広報・プロモーションというと、デザインやSNSの話になりがちです。
しかし、本当に重要なのは、「利⽤者を理解すること」です。
誰に利用してほしいのか
その⼈はどんな課題を持っているのか。
どのような情報を求めているのか。
これらを整理することで、初めて効果的な広報が可能になります。
まとめ
公共施設の広報は、「市⺠全員に伝えること」ではなく、
「届けたい相⼿に届けること」が重要です。
利⽤者によって施設に求める価値は異なります。そのため、まずは誰に利⽤してほしいのかを整理し、
その⼈にとって必要な情報を考えることが広報の第⼀歩になります。
広報の成功は、情報発信の技術で決まるのではありません。
利⽤者をどれだけ理解しているかで決まるのです。
【次回予告】
第3回は、
をテーマに、施設の特徴と魅⼒の違い、利⽤者視点で価値を整理する⽅法について解説します。
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