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2026.11.06

公共施設の広報・プロモーション講座⑤
パンフレットは何を載せるべきか?
―「施設を説明する」から「利用したくなる」パンフレットへ―

公共施設のパンフレットをつくるとき、「何を載せればよいのか」と悩むことがあります。
施設概要、開館時間、アクセス、設備、料金、利用方法……。必要な情報を挙げていくと、どうしても掲載したいものが増えていきます。
しかし、情報をたくさん載せれば、良いパンフレットになるわけではありません。
大切なのは、「施設側が伝えたい情報」ではなく、「利用者が知りたい情報」から構成を考えることです。
今回は、公共施設のパンフレットでよくある失敗と、利用促進につながる構成の考え方について考えてみます。

パンフレットは「施設概要書」ではない

公共施設のパンフレットを見ると、施設の基本情報を順番に並べたものをよく見かけます。
「○○施設は、○年に開館した施設です」「館内には会議室、多目的室、交流スペースがあります」「開館時間は○時から○時までです」といった内容です。
もちろん、これらも必要な情報です。
しかし、初めて施設を知った人が最初に知りたいのは、施設の詳しいスペックではありません。

  • 「ここでは何ができるのだろう?」
  • 「自分にも利用できるのだろうか?」
  • 「行ってみたら楽しそうだろうか?」

ということではないでしょうか。

パンフレットには施設を説明する役割だけでなく、施設と利用者との最初の接点をつくる役割があります。

よくある失敗は「載せたい情報」から考えること

パンフレット制作を始めるとき、「施設概要を載せよう」「設備一覧を入れよう」「アクセスマップも必要だ」と、掲載項目から考えてしまいがちです。
すると、施設側が持っている情報を整理して並べることが目的になり、パンフレット全体が「施設の説明書」のようになってしまいます。
そこで、一度視点を変えてみます。

「何を載せるか」ではなく、「読んだ人にどう思ってほしいか」から考える。

例えば、「こんな施設があるんだ」と知ってもらいたいのか、「家族で行ってみたい」と感じてもらいたいのか、「自分も利用できそう」と思ってもらいたいのかによって、載せるべき情報も見せ方も変わってきます。

最初に伝えるのは「この施設で何ができるか」

パンフレットを開いた人に、最初から細かな施設情報を読んでもらおうとする必要はありません。
まず伝えたいのは、その施設で過ごす時間や、そこで得られる体験です。
例えば、複合施設であれば、「会議室があります」「キッズスペースがあります」と設備を紹介するだけではなく、「地域の仲間と活動できる」「親子で気軽に過ごせる」と伝えます。
スポーツ施設であれば、「人工芝グラウンドがあります」ではなく、「天候を気にせず、仲間とスポーツを楽しめる」と表現することもできます。
前回の記事で取り上げた「特徴」から「魅力」への翻訳を、パンフレット全体の構成にも取り入れるという考え方です。

 

写真で「利用する自分」を想像してもらう

パンフレットでは、文章以上に写真が重要です。
施設の外観や設備をきれいに撮影した写真も必要ですが、それだけでは施設の使われ方までは伝わりません。
図書館であれば、本棚だけではなく親子が絵本を読んでいる様子。公園であれば、遊具だけではなく子どもたちが遊んでいる様子。交流施設であれば、空の会議室ではなく地域の人たちが活動している様子。

「場所」だけではなく「そこで過ごす人」を見せることで、利用者は自分自身の体験を想像しやすくなります。

パンフレットの写真は施設の記録ではなく、利用シーンを伝えるためのもの、と考えると選び方も変わってきます。

 

詳しい情報は「行ってみたい」の後に置く

利用者が「行ってみたい」「使ってみたい」と思ったら、次に知りたくなるのが具体的な利用方法です。
どこにあるのか、いつ利用できるのか、料金はいくらなのか、予約は必要なのか、駐車場はあるのか。
こうした情報は重要ですが、パンフレットの最初からすべてを説明する必要はありません。

「興味を持つ」→「自分に関係があると感じる」→「詳しい情報を確認する」→「利用する」

という利用者の行動を想定して、情報の順番を設計することが大切です。
パンフレットのページ構成そのものを、利用者の気持ちの流れに合わせるのです。

すべてをパンフレットに載せる必要はない

もう一つ重要なのが、情報を詰め込みすぎないことです。
公共施設では、利用規則や料金区分、予約方法など、説明しなければならない情報が数多くあります。しかし、それらをすべてパンフレットに掲載すると、文字が小さくなり、本当に伝えたい魅力が埋もれてしまいます。

詳しい利用規則や最新情報はWebサイトへ誘導し、パンフレットでは施設の魅力や基本的な利用方法を伝える。

紙とWebの役割を分けることも、現在の公共施設広報では重要な考え方です。
QRコードを活用すれば、パンフレットを「すべてを説明する媒体」から、「もっと知りたい人を次の情報へ導く媒体」へ変えることができます。

パンフレットの構成は「利用者のストーリー」で考える

利用促進につながるパンフレットをつくるのであれば、施設側の説明順ではなく、利用者のストーリーで構成してみましょう。
例えば、
知る → 興味を持つ → 自分の利用シーンを想像する → 詳しく知る → 行ってみる
という流れです。
表紙や冒頭では「どんな体験ができる施設なのか」を印象的な写真やコピーで伝え、中面では具体的な利用シーンや施設の魅力を紹介し、その後に設備・利用方法・料金などの情報を整理する。そして最後にアクセスやWebサイトへの導線を設ける。
この順番であれば、パンフレットそのものが「施設を知ってから利用するまでの小さなストーリー」になります。

 

まとめ|パンフレットの目的は「載せること」ではない

公共施設のパンフレットをつくるとき、最初に考えるべきなのは掲載項目ではありません。
「このパンフレットを見た人に、次にどんな行動をしてほしいのか」
を考えることです。
施設を知ってほしいのか、イベントに参加してほしいのか、予約してほしいのか、家族で訪れてほしいのか。その目的が明確になれば、何を載せ、何を載せないかも自然と見えてきます。
パンフレットは、施設情報を収めるためのものではありません。
施設の魅力を伝え、利用者の「行ってみたい」「使ってみたい」を生み出すためのコミュニケーションツールです。

「何を載せるか」から考えるのではなく、「どうすれば利用につながるか」から逆算して構成する。

それが、利用促進につながる公共施設パンフレットづくりの第一歩です。

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