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2026.03.31

Strategic Strengths 強みを起点に提案をデザインする

前回は、評価される提案書をデザインするフレームワークとして、ADW Proposal Method を紹介しました。

その最初の要素が Strategic Strengths(強みの設計) です。

提案書では、多くの企業が同じテーマで提案を行います。そのため、単に提案内容を説明するだけでは差別化になりません。

重要なのは、「なぜこのチームがこの事業を担うべきなのか」を明確に示すことです。

しかし実際のプロポーザルでは、提案内容の検討に多くの時間が使われる一方で、自社やチームの強みを整理するプロセスが十分に行われていないことも少なくありません。

Strategic Strengthsは、提案書づくりの最初のステップであり、提案の軸を決める重要なプロセスです。

なぜ「強み」が整理されない提案書が多いのか

提案書を読むと、次のような文章をよく目にします。

  • 豊富な実績があります
  • 高い技術力があります
  • 万全の体制で対応します

一見すると魅力的に見えるこれらの表現ですが、読み手にとっては
「結局、この企業は何が強いのか」 が分からないことがあります。

多くの提案書では、企業の特徴は説明されていても、
“この案件における強み”として整理されていない のです。

提案書で重要なのは、実績や技術を並べることではありません。

「この事業で評価される強み」を明確にすることです。

Strategic Strengths の第一歩 競合比較で強みと弱みを整理する

ADWでは、提案書の初期段階で 強み整理のワーク を行います。

その際によく用いるのが プロコン分析(Pros / Cons) です。

ここで重要なのは自社だけの強み・弱みを整理することではありません。

提案書における強みは、競合との比較の中で決まるものだからです。

そのためADWでは、競合チームと比較したプロコン分析を行います。

強みだけでなく弱みが分かれば

  • パートナー企業で補う
  • 提案内容でカバーする
  • 体制で補完する

といった対策を検討することができます。

SWOT分析で事業環境を整理する

次に、企業の内部要因だけでなく、事業環境も含めて整理します。

その際に活用するのが SWOT分析 です。

SWOT分析とは、

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

の4つの視点から、自社と事業環境を整理するフレームワークです。

ここで重要なのは、単に整理することではなく、提案の方向性を導き出すことにあります。

参考事例:火葬場整備・運営事業の場合

例えば、火葬場整備・運営事業では、次のような整理ができます。

SWOTから提案の方向性を導く

このように整理すると、提案の勝ち筋が見えてきます。

例えばこのケースでは

  • 技術力や運営実績は強み
  • 一方で地域性は弱み
  • 評価では地域貢献が重視される

という構造が読み取れます。

つまり提案としては

「技術力を軸にしながら、地域性をどう補うか」が重要になります。

SWOTは「戦略を導くためのツール」

SWOT分析は、単なる整理ではなく
提案戦略を導くためのツールです。

例えば

  • 強み × 機会 → 強みを最大化する提案
  • 弱み × 機会 → 弱みを補完する提案
  • 強み × 脅威 → 強みで競合に対抗する提案

といった形で、提案の方向性を具体化していきます。

提案書にどうつながるか

このプロセスを経ることで

  • なぜこの提案なのか
  • なぜこのチームなのか

という説明に一貫性が生まれます。

SWOT分析は、提案書の裏側にある“設計図”であり、
評価されるストーリーの土台となるものです。

強みは「相対評価」で決まる

提案書における強みは、必ずしも絶対的なものではありません。

競合との比較の中で決まるものです。

例えば

  • 全国実績は多くないが地域実績は豊富
  • 運営実績は少ないが技術力は高い

といったケースでも、競合との関係によっては十分に強みになります。

そのためADWでは 自社分析 + 競合分析 を組み合わせて行い、提案の勝ち筋を整理します。

コンソーシアムによる提案で重要なこと

PFIやPPPなどの事業では、設計、施工、運営など複数の企業が参画する コンソーシアム で提案書を作成します。

このとき重要なのは、チームとしての強みを整理することです。

例えば

  • 設計会社 → 計画力
  • 建設会社 → 技術力
  • 運営会社 → 運営ノウハウ

といった役割を整理し、チームとしての価値を提案の軸にします。

この整理ができていない提案書は、提案内容がばらばらになりやすくなります。

Strategic Strengths は「勝ち方」を考えるプロセス

提案書づくりは、単に資料を作る作業ではありません。

  • 自社の強み
  • 競合の特徴
  • 発注者の課題

を整理しながら、どのように勝つのかを考えるプロセスでもあります。

Strategic Strengthsは、提案書づくりの出発点であり、提案戦略を決める重要なプロセスなのです。

今回紹介した Strategic Strengths(強みを設計する) は、提案書づくりの出発点です。

しかし、強みだけでは提案は成立しません。

提案書では、発注者が求めている価値を理解することが不可欠です。

次回は

Client Insight(発注者理解) をテーマに、

  • 発注者は何を評価しているのか
  • 上位計画の読み方
  • 公共プロポーザルの背景

といった視点から、発注者の課題をどのように読み解くかを解説します。

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